「時速1000キロの超高速鉄道ハイパーループ 将来現実化か 」ニューヨーク・タイムズ(英字新聞)を読む
米国を中心に、リニアモーターカーと気送管(真空に近いチューブの中で走らせる)を合わせた”ハイパーループ”技術によって時速1000キロ(600mph) に近い超高速交通が開発されているとの事です。
かつての図書館内での閲覧請求やNY市やパリの一部で郵便を送るのに使われていた技術としています。
ヴァージン・ハイパーループ・ワン(リチャード・ブランソン氏のヴァージン・グループも株主)のラスベガスにある試験線路(チューブ)でテストが繰り返されていて、巡航速度時速510(可能であれば670)マイルの実用化を目指していると紹介しています。
乗り物(ポッド)の中は窓の代わりに沢山の大きな映像を映し出すとしています。揺れが無く、時速600マイルでもコーヒーカップがテーブルの上でずれたりしないとしています。
複数の会社が開発競争をしつつ、業界全体の成功を目指して見守り合っているとの事です。FedExやアマゾン等の飛行機輸送の代替にもなり得るとしています。
現在、カナダ・トロントやアルバータ州、フランス・リモージュと他の地域、アラブ首長国連邦・アブダビ、インド、米国中西部(北部)の都市間で、テストや将来の路線計画が構想されているとしています。
環境にも優しく技術的には10年後の導入も可能としていますが、土地の確保、安全確保や規制の整備、費用の問題等がこれからの課題としています。
以前からあるカルフォルニア州のサンフランシスコとロサンゼルス間を結ぶ新幹線計画が予算の優先順位等の理由で予定よりも短い区間にとどまる方向となったことも紹介しています。https://nyti.ms/2UWQGOa
運賃を ”切符ではなく(電車内の)広告だけで実現できれば” という創設者の声も紹介しています。
ハイパーループの概念はテスラのイーロン・マスク氏の会社によって技術公開されているとの事です。https://www.spacex.com/sites/spacex/files/hyperloop_alpha-20130812.pdf
A Real Tube Carrying Dreams of 600-M.P.H. Transit
Virgin Hyperloop One is testing a system that would put passengers in pods hurtling through vacuum tubes. Other companies are moving ahead with similar plans.
本物(実物大)のチューブが、時速600マイルの夢を運ぶ
ヴァージン・ハイパーループ・ワンは真空の管の中で勢いよく推進するポッドに乗客を乗せるというシステムの実験を行っている。他の会社も同じような計画を進めている。
Here, engineers working for Virgin Hyperloop One are testing a radically different type of mass transit: one that aims to move people and cargo in small wheel-less pods in a vacuum tube at speeds that could exceed 600 miles per hour. Today’s swiftest rail travel, at top speeds less than half as fast, would become a quaint anachronism.
ここラスベガス近郊の砂漠では、ヴァージン・ハイパーループ・ワンのエンジニア達によって、今までとは全く違った形の交通機関実現が試されている。人や貨物を車輪の無いポッドに乗せ、真空のチューブの中で時速600マイルを超えるスピードで運ぶというものだ。今日ある最速でも半分以下の新幹線での移動が、懐かしいアナクロになってしまう。
It works by propelling pods using magnetic levitation through a low-pressure, near-vacuum tube.
しくみは、磁力の浮遊力を使ってポッドが真空に近い気圧の低いチューブの中を推進するというものだ。
The low pressure minimizes friction and air resistance, greatly reducing the power needed. And because the pods travel in a tube, they’re not subject to shutdowns due to harsh weather, like snow or polar vortexes.
気圧の低さが摩擦と空気抵抗を最小限にし、推進に必要な電力消費を大きく下げる。そして、チューブの中で移動するので、雪や北極からの極渦のような厳しい天候によって運転が止まるようなことも無い。
“Time is more and more a valuable commodity. The transportation industry is ready for a new way of thinking.”
“時間はより貴重な商品へと変わってきています。交通・運輸業界も新しい考え方を取り入れる時がやってきたようです。” コーネル大学のリック・ゲデス教授は言う。
語彙・語法・類語・文法
Real tube 本物のチューブ 郵便や図書館の小さなものではないチューブ
Carrying ~ を運んでいる
600 miles per hour = 1000kmh弱 mile マイル 1mi. (マイル) = 約1.6km
Transit 交通機関・手段 mass transit 公共交通
Passenger 乗客 助手席に乗る人
Pod 種の殻 殻の形の入れ物 wheel-less pod 車輪の無いポッド
Hurtle 勢いよく進む を力で投げる
Vacuum 真空の vacuum (cleaner) 掃除機
Move ahead 前へ進む with の計画で
Similar 似た different 違った
Radically 極端に = extremely
One that ~ するもの
Aim to ~ することを目指す aim 狙い
Move ~ in ~ に載せて動かす
Cargo 貨物 = freight / load / shipment
At a speed of / that のスピードで at 600mph
Exceed ~ を超える
Swift 素早い
Rail travel 線路を使った交通 travel 移動 旅行 journey 旅 trip 旅行 tour 複数箇所まわる旅行 expedition 探索 excursion 遠出 旅行
Less than half as fast (as) ~ の半分の速度より小さい
Would become になり得る 仮定法
Quaint 古くて風変わりで良い = old-fashioned / old-time / antiquated
Anachronism 過去に存在したもの 古めかしいもの 時代錯誤のもの
It works by ~ によって成り立つ・動く
Propel 推し進める 推進する
Magnetic 磁力の
Levitation 浮遊 levitate ~ を宙に浮かせる
Low-pressure 気圧の低い near-vacuum 真空に近い
Minimize ~ を最小限にする maximize ~ を最大限にする
Friction 摩擦 air resistance 空気抵抗
Reduce ~ を減らす increase ~ を増やす
The power (that is) needed 必要な電力
Be subject to ~ によって変化する に従う
Shutdown 閉鎖
Due to ~ の為
Harsh weather 厳しい天候
Polar vortex 北極からくる極渦 極周辺の低気圧 今年になって複数の流れに分裂し、米国北東部で零下数十度の気温をもたらした 気候変動によると予想されている
Valuable 価値がある value 価値 高く評価する values 価値観
Commodity 商品 取引対象となる物品 = goods / merchandise
Transportation 交通・運送 industry 業界
引用:2019/02/20 NY Times Technology. A Real Tube Carrying Dreams of 600-M.P.H. Transit から抜粋。