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NY Times (英字新聞)で日本・世界を読む

「インド・パキスタン危機 選挙を前にモディ首相人気を取り戻す」ニューヨーク・タイムズ(英字新聞)を読む

インドで全国選挙があと1ヶ月という時に、汚職や経済減退で人気が落ちていたナレンドラ・モディ首相と彼の人民党の人気が高まっているとの事です。パキスタンとの国境危機に救われたとの事です。

 

記事によると、2月からのカシミール地方でのパキスタンとの戦争の危機が、決断力・リーダーシップ・国粋主義の3つをうたうモディ首相に理想的な環境を与え、再び選挙での勝利が見えてきたとの事です。彼は“7つの海を越えてでも… 報復をするのが私の信条だ。”と強くアピールしているとします。

 

インドでは過去5年間で最低の経済成長で、毎月ほぼ5千万人の新しい求職者が増える中、雇用自体はここ3年減少し、過去45年で最大の失業率(6.1%)・就職難との事です。モディ政権による経済動向調査の隠蔽も野党に叩かれています。

 

またモディ首相任期中に、上層カーストによる下層カーストへの迫害が激しくなり、下層カーストイスラム教徒等の少数派への暴力や殺人も激化しているとしています。ヒンドゥー国粋主義の台頭がありそれをモディ首相が意図的に見過ごしたり肯定的しているとします。

 

モディ首相は“皆で繁栄”と唱えつつ、一方で少数派への迫害を意図的に見過ごす事で自身の支持基盤づくりをしているとします。任期中に階級間での隔たりが大きくなっているとの事です。

 

経済不振と農産物の異常な価格下落から何千何万という農民による首相へ対するデモがあり、売れなくなったミルクやじゃがいもが道へ投げられたという状況も報じられています。

 

しかし、有権者9億人のインドでは4割が投票直前まで浮動票であるとし、今回のカシミール地方のパキスタンへの爆撃が彼の人気を沸かしているとの事です。

 

インドでは、モディ首相の保守・右派の人民党(とその連立)に対し革新・左派のインド国民会議党(とその連立)による対立があるとの事です。最近は、フランスからの戦闘機購入を巡るモディ首相の汚職や経済減退で野党から叩かれていたところだったとしています。

 

In India’s Election Season, a Bombing Interrupts Modi’s Slump

インドでの選挙シーズン、爆撃によってモディの人気不振が払拭される

 

But one bombing in Kashmir, and weeks of military brinkmanship with Pakistan afterward, appears to have interrupted Mr. Modi’s slump.

(人気が下がっていた中で、) その後の数週間に渡るパキスタンとの瀬戸際外交によって、モディ首相の人気落ち込みに歯止めがついた。

 

Political analysts say that Indians are rallying behind Mr. Modi again, and that he seems to be making crucial gains among independent and undecided voters.

政治アナリストによると、インドの人々は再びモディ首相を支援しだした。彼は無党派や浮動票の人達の間でここ一番で重要な人気を取り戻している。

 

The fact that India’s airstrikes probably missed their targets, and that a fighter jet was shot down by Pakistan, doesn’t seem to matter to most Indians. Their country was hit, and Mr. Modi hit back.

インドによる爆撃が的を外したりパキスタンに戦闘機が撃墜されたことは重要ではないようだ。国が攻撃され、モディ首相はやり返した。それが重要である。

 

“Whatever our criticisms about him regarding the economy and jobs, at the end of the day he has done an incredible job of delivering justice for the martyrs,” said Prapti Bhattacharya, a law student and first-time voter.

“経済や雇用についての批判が色々あるけれども、結局のところ、彼は殉教の士の正義の為にとても大事なことをしたわ。” ロースクール学生で今回初めて投票をするプラパティ・バハタチャラは言う。

 

“Before this, I would have voted for Congress,” the leading opposition party, she said. “Now I’m voting for Modi.”

“これまでは、国民議会(野党) に投票するつもりだったけれども。今はモディに投票するわ。” 彼女は言う。

 

語彙・語法・類語・文法

Election 選挙 elect ~  を選挙で選ぶ cast a ballot  投票する

Bomb ~   へ対し爆撃をする 爆弾 bomber 爆撃機 fighter jet 戦闘機

Interrupt ~  を妨害する 邪魔する  disturb / bother 人 の邪魔をする

Slump  下降 落ち込むこと  drop / fall  落ちる  sink 沈む

Kashmir カシミール地方 インド北端。今年2月のバレンタインデーに、パキスタンに支援されているとする武装組織による爆弾テロでインド兵士40名死亡。後日12機のインド空軍機が国境を越えパキスタン領で爆撃。その後国境沿いで砲撃の応戦。インド軍機が撃墜されパイロットが拘留されその後釈放される。両首相共に国内向けの政治宣伝に利用する。

Military 軍 軍事の   militia 武装組織

Brinkmanship  瀬戸際外交 brink 瀬戸際 + manship 主義・その他  危機を煽って政治的に利を得る戦術

Afterward 後に 続いて   beforehand 予め

Appear to  ~  のようだ  に見える  = seem to appearance 早期に現れること appear  現れる のように見える 

Political analyst 政治分析家  analysis 分析

Rally behind / around 人   の支援をする     rally デモをする 集まる

Crucial gain 重要な進歩 crucial 肝心な 重要な gain 進歩 得すること

Independent 独立 その党派にも属さない

Undecided 決めていない un + decide

Voter 投票する人 有権者 vote 投票

Airstrike  空襲  = air raid     bombing 爆撃

Matter to ~  にとって重要である 意味がある

Whatever ~   どんな ~ であろうとも

Criticism 批判 = denunciation / denouncement / condemnation          disapproval 反対

Regarding ~  に関して = about         In terms of / concerning / with (or in) regard to / with respect to / with(or in) reference to   ~  に関して の見地から という意味で

At the end of the day 最終的に 

Incredible 驚くべき 信じられない in できない + credible 信じられる

Incredible Job  素晴らしい手柄・手腕の発揮

Deliver justice 正義をもたらす deliver ~  を運ぶ もたらす justice 正義

Martyr 自己犠牲で国や信条の為に命を捨てた人

Would have + 過去分詞  (以前なら・本当なら) 〜していた 

Leading opposition party  最大野党 

 

引用:2019/03/12 NY Times. Asia Pacific. In India’s Election Season, a Bombing Interrupts Modi’s Slump 

nyti.ms

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