「日本 外国人労働者受け入れ制度改革 欧米のトレンドと逆なのか? (入管法改正)」ニューヨーク・タイムズ(英字新聞)から英語を勉強する
NY Times Asia Pacific から。日本が長く続けてきた“他国や他文化への無関心や孤立を緩めた“と外国人労働者受け入れ制度改革を描いています。
5年間有効の単純労働就労者ビザ26万から34万5千人分を、介護、建設、農業、造船、等14の業界で発行し、一方、高所得就労者(高度技術者等)は期限なしで滞在でき家族も呼ぶことができるようにするとの事です。
今後25年間で日本の人口1600万人(人口の13%)が減少し、3人に1人が65歳以上になり、2025年までに33万7千人の新たな労働者が必要になるとの事です。
外国人労働者の事故や病気による死、自殺や虐待にも言及していて、業界と政権が束縛なしにルールを作り搾取が増えるだけだとする批判も紹介されています。外国人労働者や単純労働に対する社会的意識のあり方を見直すべきともしています。
コメント欄では、日本は世界でも有数の差別国家だとしたり、女性蔑視や高齢労働者に対する偏見や搾取、企業が純粋に安い賃金の外国人を雇う他の国々と同じであるとする声等があります。
Bucking a Global Trend, Japan Seeks More Immigrants. Ambivalently.
世界のトレンドに反して日本は移民を求める。複雑な気持ちで。
The measure is a remarkable turn for Japan, surprising neighbors and maybe even itself. A nation that once embraced draconian limits on immigration is now reluctantly moving in the other direction, beckoning foreigners just as anti-immigrant political forces are roiling the West.
この施策は、日本にとって顕著な転換である。近隣を驚かせ、たぶん自分自身も驚いている。かつて厳しい移民制限を重視した国が、不本意ながら外国人を招きつつ反対方向へ進む。今、ちょうど反移民を主張する政治的勢力が欧米を席巻する中で。
“This isn’t about Japan becoming a multicultural society and it’s not about Japan opening its doors to become more globally oriented,”… “This is just very plain labor market politics.”
“これは、日本が多文化社会になる事でも無ければ、日本がもっと世界的になってその門戸を開く訳でもありません。” (ハンバーグ大学日本政治と文化の教授で移民専門家のガブリエル・ヴォートは言う。) “単なる労働市場政治でしかありません。”
語彙・語法・類語・文法・説明
Buck (against) ~ に反対する buck 馬が後ろ足で蹴る 揺れ動く
Global trend 世界の流れ 欧米の反移民の声や孤立主義の政治
Global 世界の 地球の = world globe 地球 世界
Seek (out) ~ を探す = look for
Immigrant 移住者 移民 migrate 棲みかを移動する 季節に従って渡る migration 渡ること migrant 移民 emigrant 移動している移民(移民全般)
Ambivalently 複雑な気持ちで (ambi 両・複) ambivalent 相対する気持ちがある ambiguous 曖昧な amphibian 両生類
Measure 方策 施策 = procedure / move / action / effort / means
Remarkable 顕著な 目を見張らせるような = noteworthy / striking
Turn 転換 変化
Surprise ~ を驚かす
Neighbor お隣さん neighborhood 近所 地域
Embrace ~ 抱きしめる 抱擁する
Draconian 法制度等が厳しい = harsh / cruel / severe / strict / oppressive
Limits on ~ への制限
Reluctantly しぶしぶ reluctant しぶる 乗り気がしない
In the direction の方向へ in the north 北の方へ・で
Beckon (to) ~ 手招き等で呼ぶ = signal (or sign) to / at 人
Foreigner 外国人 foreign 外国の
Political force 政治的勢力 force 力 勢い
Just as ~ ちょうど現在〜である中で
Roil ~ を渦巻きのようにかき回す 席巻する
Multicultural 多文化の multi 多 + cultural 文化の
Globally oriented 世界へ向く ~ oriented へ傾いた
Plain 普通の 何も手を加えていない plain and simple 簡単で単純な
Labor market politics 労働市場に関する政治 安定した労働市場を確保するための政治
記事では、“外国人が日本の社会福祉サービスを利用するのを止めなければならない。” (青山繁晴参院議員)というコメントも紹介している。
一方、搾取が増えるとする批判 “監督や査察・審査のシステムがなければ、きちんとした運営はされないでしょう。” (慶応義塾大学社会学、柏崎千佳子教授) も紹介している。
又、米国の東アジア政治専門家は、日本の安倍政権が、トランプ大統領の排他的態度に励まされて、外国人労働者の人間性を無視して労働力としてだけ扱うような政策が許されてしまう、とのコメントも紹介している。
記事では、柏市の特別擁護老人ホーム、マザーズガーデンを取り上げて、所長は外国人が日本の文化や”心”を理解できるか心配と言い、施設長は台湾、フィリピン、ベトナムの人が一緒に働いる中で、皆日本人の同僚と”同じ心”を持っていて“何も差を感じない”とコメントしている。
介護の賃金の低さ等も取り上げ、介護士の社会的・金銭的地位を上げなくては意味がないという声も紹介している。
別の専門家によると、外国人単純労働者は家族を呼ぶことができず、歯車の一つに使われるだけとする意見も紹介している。
又、中国もそのうち同じ状況になるので日本が見本を見せる必要があるとの意見もある。
外国人に対する日本人の不安の一つにゴミの出し方がわからないのでは、という声が多いとしている。
“日本は外国人労働者に救われる必要がある。” (日本人を夫に持ち地域の介護士を目指すミッシェル・フカイさん) のコメントで記事を締めくくっている。
引用:2018/12/10 NY Times Asia Pacific. Bucking a Global Trend, Japan Seeks More Immigrants. Ambivalently. から抜粋。