英語ーひでさん

英語 ひでさん

NY Times (英字新聞)で日本・世界を読む

「アメリカの中絶問題 米国の政治・社会・宗教」ニューヨーク・タイムズで英語を勉強する

NY Times Opinion から。米国の反中絶運動や胎児の法的人格、女性の権利についてNY Times編集部による長編特集記事です。

 

米国アーカンソー州で、家で腹痛と死産があって胎児を病院へ持ち運んだ女性が6年間の禁固刑を言い渡された例から始まっています。

 

キリスト教文化の深い米国では反中絶活動が大きな政治勢力となって医療制度や司法システムにも大きく影響しています。

 

中絶をするクリニックが減り、中絶のできる場所が一つしか無いような州も数州です。中絶を施す医師は嫌がらせを受け、殺害されるケースも報道されます。

 

母親の命よりも胎児の命に重きが置かれたりするような事もある社会的見解や刑罰システムも形成され、お金も支援も無く自分で中絶を試みて失敗して死亡する大勢の女性の存在が社会問題となっています。(10代の妊婦やレイプによる妊娠等も助けを得られずに自分で中絶を行う例が多いとされています。)

 

一方で、キリスト教保守主義が持つ強い投票力が政治家や党派政治に利用されていると批判されています。

 

記事によると、1980年にレーガン大統領の選挙で、福音主義クリスチャン人口の投票力を利用する為に、共和党戦略家達によって中絶反対運動が始められたと紹介しています。(トランプ大統領も以前は中絶OK。現在は共和党に付いて中絶反対。)

 

反中絶運動に利用する為に、弁護士を雇えない貧困の非白人女性妊婦が検察に狙われるとも紹介されています。

 

又、記事では、80年代以降、(黒人コミュニティーで広がった)結晶覚醒剤を使用する母親から胎児を守るという名目で、黒人貧困層の女性・妊婦が広報・政治活動で攻撃の的とされてきたと紹介しています。

 

(歴史的に一番被害が大きいとされる現在のアヘン系薬剤中毒問題では白人中毒者も多いので、中毒の妊婦も差別されないとしています。記事では過去NY Times自身も差別広報に加担したと振り返っています。)

  

How My Stillbirth Became a Crime

I was treated like a murderer for suffering a personal tragedy.

私の死産がどのように犯罪となったか

生まれる前の赤ん坊を亡くし自分の個人的な悲劇を悲しんでいることを殺人であるとして扱われた。

 

Ms. Bynum is one of several hundred women in the United States who have been prosecuted for their pregnancy outcomes. Numerous states across the country have passed laws recognizing fetuses — even fertilized eggs — as persons separate from the mother, and more are considering doing so. These laws have had the perverse consequence of not just pitting the health of a fetus against that of a pregnant woman but of also, in some cases, overriding the woman’s rights entirely.

バイナム氏は、米国で妊娠がもたらした結果から刑に罰せられた数百人の女性の一人である。全国の多くの州で、胎児は(受精卵でも) 母親から独立した人と認める法を作り、他の州も同じような法整備を検討している。これらの法は、胎児の健康を妊娠中の女性の健康と競合させるだけでなく、場合によっては女性の権利を全て奪うような歪んだ結果をもたらしている。

 

Women who have miscarriages or stillbirths have been detained and jailed for a variety of crimes, including murder. Ms. Bynum was convicted of “concealing a birth,” a crime that dates back to the 17th century.

流産や死産をした女性たちが拘束され様々な犯罪理由で禁固刑を受け、中には殺人罪も含まれる。バイナム氏の場合は、“出生の隠蔽” で有罪となった。17世紀まで遡る罪である。

 

記事では、交通事故で妊娠中の胎児を死産した母親が過失致死罪となったり、階段で転んで死産し禁固刑を受けるケース等も紹介している。

 

自殺未遂の後の死産で殺人罪とされたり、銃の発砲で母親は死んではいないが胎児が死産となり殺人罪となったケースも紹介している。

 

又、NY Times編集部では、反中絶運動家達が、流産でも政治的に利用できるならば殺人罪となるようにしていると批判的に取り上げている。

 

一方で、保守派をある程度満足させつつ同時に母親の権利も保護するような法律を作ったコロラド州の例等も紹介している。

 

語彙・語法・類語・文法

Stillbirth 死産 still 動かない + birth 出産 miscarriage 流産

Treat 人・モノ like ~  のように扱う

Murderer 殺人者 murder 殺人 manslaughter 致死(罪) 

Suffer ~  を苦しむ suffer from ~  から苦しむ 

For suffering a personal tragedy 個人的な悲劇を苦しむ 

Tragedy 悲劇    Greek tragedy ギリシャ悲劇  comedy 喜劇

Prosecute ~ 訴追する・罰する  prosecutor 検察官    defendant  被告   plaintiff 原告     criminal 犯罪者   

Pregnancy 妊娠   be pregnant 妊娠している   abortion 中絶

Outcome 結果 = result

Numerous 沢山の  = a number of  

Across the country 全国で

Pass a law  法を議会で通過させる 

Recognize ~  を認識する 認知する

Fetus 胎児   fetal 胎児の

Fertilized egg 受精した卵 

Persons (who are / being) separate from the mother  母から離れた人

More (states) are considering ~   更に多くの州が ~ を検討中 

Perverse 常軌を逸する 

Consequence (悪い)結果 結果となって現れるもの result  結果

Pit A against B   AとBを対比させる 競合させる

Health of a fetus …  that(= health) of a pregnant woman   胎児の健康(権利) … 女性の健康(権利)

A overrides B    Bを取り消してAが優先させる 

Consequence … of  … overriding the woman’s rights entirely その女性の権利を尽く奪う結果

Detain ~ を拘置する     hold 人 in detention  (拘置所で)拘置する

Convict 人 を有罪とする

Conceal ~  を隠す = hide

Date back to ~  まで遡る

The 17th century   17世紀  the 21st century  21世紀 the Heisei period 平成時代

 

引用:2018/1/9 NY Times Opinion. How My Stillbirth Became a Crime から抜粋。

nyti.ms